11月の募集テーマは、『ひとつの青春のおわり』について。

「青春」とひとくくりに言っても、その形は様々。

今回は寄稿していただいた方々の、思い思いに綴られたテキストを全文掲載させていただきました。

貴方の何気ないあの思い出も、振り返ってみれば特別な青春だったかもしれない。

  

ひとつの青春のおわり

大学時代、幾度となく通った居酒屋が閉店する。

閉店のわけは色々とあるのだが、ここでは割愛する。

昨日、お店と店長へのお疲れ様会的な大きな飲み会が開かれた。こんな時期に大勢が集まるのは許される事ではないと分かっているけれど、もう“次”はないから、みんな暗黙の了解で集まった。

同期はもちろん、私が大学1年生の頃、一緒に撮影をしたり遊んだりしてくれた先輩たちや新歓の頃から知っている後輩たちが集まり、言い方は悪いが走馬灯を見ているようだった。これからどこで飲めば良いのか。何度もつぶやき、誰もがシュンとする。

店員も歴代のサークル員だったり、関係者だったり、お客さんも先輩後輩が多く、上京組の私からしたら、いつも誰かしら知り合いがいる店なんてここしかなくて、無くなると知って初めて気付く存在の大きさ。涙

このお店みたいに「そんなに気負わなくていいんだよ」って思わせてくれる場所や居場所って私にとっていくつあるだろう?そんなことをふと考えた。

いつも頼んでいた鮭マヨチャーハン。
いつも頼んでいた鮭マヨチャーハン。

どんな場所であれ、コミュニティであれ、そういう存在が一つでもあればきっと明日からもなんとか生きていけるような気がする。あのお店はもうなくなってしまうけど、そこで出会った人たちや思い出がなくなる訳ではない。

何度あそこで終電を逃したか。何度心の底から笑い、悩みを打ち明け合い、夢を語っただろうか。

青春がひとつ終わった。けれど私の日々はこれからも続いている。

 

Untitled

正確に言えば、どれひとつとして終わっていない。

時間が経っても、自分の中で閉じ込めたままにしておけたなら、ときめきもきらめきもある程度の鮮度が保たれるし、なんなら思い出補正で、増しで綺麗に見えるかも。

閉じ込めたままのものも多いけど、図らずもひとつ、開けてしまった。

もう会わないだろうと思っていた人と、本当に偶然再会した。

2人でよく行ったお店にその人は1人で来ていた。

お決まりの近況報告と、ちょっと重めの沈黙。

「急に返信しなくなっちゃってごめんね。」
「気にしてないよ、みんなそんなもんだから」

言ったそばから、自分のはいた言葉の温度の無さに驚く。

朝までいるつもりできたのに、お店も混んできて小雨が降る中、2人で店を出た。

最後の言葉は、じゃあね、とか、そんな感じだった気がする。

寄稿者:すみえ

IG:@sorobochi_harapan

Twitter:@happinessfctr

傷を癒すことを知った街

今から約1年ほど前まで、下北沢の近くに住んでいた。初めての一人暮らし。大学を卒業してから、以前から憧れていた下北沢の近くの東北沢と池ノ上の間くらいの、少し古めのアパートを見つけた。65000円。1Kのユニットバス。築年数は30年とちょっとで、家具付き。何よりも、日当たりがとてもいいことが私にとっての一番のお気に入りだった。

アパレルの仕事をする傍ら、夜、バーでバイトをしたいなと思い、気になったバーに電話をして、そこで働けることになった。そこから私の1年半と続く、下北沢での青春は始まった。

色んな人に出会った。色んな人と友達になれた。色んな人と無言のお別れもした。楽しさも嬉しさも、辛さも、色んな感情を経験した。そう。日々変わりゆく場所で、一日として同じ時間はなかった。私は、毎晩のようにみんなが集まるバーに行った。お酒が特別好きなわけではなかったが、みんなと話すためだけに、新しい友達と出会うために足繁く通った。

時は経ち、ちょうど一年前のこの時期、下北沢を離れた。その後も何回か下北沢に寄ることはあったが、街も日々代わり、訪れる人も、日々移り変わっていき、私の心も少しずつ変化していた。

学生時代にはただただ息苦しさをずっと感じていて、青春と呼べるものをあまり経験してこなかったが、下北沢で毎晩のように飲み明かした日々は、私にとって青春だった。

何より、自分を大事にすることが一番大切なのだと、色んな人から教わった。

色んな感情を呼び起こされる街、下北沢。ありがとう。いままで沢山沢山自分を痛めつけてできた傷たちを見つめて、自分で癒すことを知った、ほろ苦い街。

 

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青春が終わる瞬間について考えてみた。

それはきっと、綺麗すぎるラブストーリーに感動しなくなった瞬間、
それはきっと、体が動く前に頭で考えてしまうようになった瞬間、
もしかしたら私にとってそれは、己が何者かを知ったその瞬間かもしれない。

自分は特別な存在なのだと信じたかった10代、そこからたくさんの挫折を経て、等身大のちっぽけな自分を知ってしまった時、私は自分にひどく失望した。

一人ひとりは当たり前に特別な存在なのに、恐らく自分が勝手に描いたそのイメージとの乖離に一人で苦しんでいたんだと思う。

20代も後半に差し掛かった今の私は、自分ができることとできないことを知っているし、好きなことと嫌いなことも知っている。

何より、物事は必ずしも黒と白2つの側面だけではないことを今までの経験から学ぶことができた。これって結構大事で、そのことを頭でなく心から理解できてからは、より寛容に、生きやすくなったと感じる。

結局は自分のことを理解しつつ、それでいて自分や自分の可能性を決めつけてしまわない、そんなスタンスが一番いいのだと思う。田舎に生まれ育ち、生きづらさと窮屈さを感じていた10代。

自分は自分以外の何者でもないこと、ましてや何者かになる必要さえないことを理解した今、当時の私に、10年後の私はそんなに悪くないと伝えたい。

 

寄稿者:匿名/マシュマロから

 

アジト、ブルーは熱い色

我々の青きアジト。まさに”青春”と呼ぶべき場は、急な終わりを迎えた。

廃業の原因が本当にコロナかは分からない。私たちが集う時は、いつも貸切状態だったから。

毎度、ソジュ1・2本頼んで長居。ブルーライトに照らされながら、中央で踊ったりしたよね。他の客がいないのをいいことに、好き放題、曲をリクエストしたりして。

口癖は、「日常には音楽と踊りが足りない!」刺激不足な私たちのガス抜き処になっていた。

お互いのゴシップネタを持ち寄って騒いだし、あの場でも発生したね。

店のトイレにも絶やさず焚かれていたお香は、あの子の家にもあったな。凝ったドレッドヘアには、エキゾチックな香りとたばこの匂い、そして、浅はかな汗の匂いが編み込まれていた。

閉店パーティーには行かなかった。あっさりと、違う店に変わった。あそこは、そういう街だから。

あれを超える場所を探すのはなかなか難しいけど、短い間に濃密な思い出をありがとう。

お陰であの頃の記憶は、どれも青色に染まってる。

 

拝啓 日本のZINEカルチャー

私はZINEカルチャーを愛している。
そして日本のZINEカルチャーは、今の私にとってかかせない一部分になったように思う。
勝手に恩を感じている。これはとてもあたたかい。
はじめてのZINEは、好きなイラストレーターさんのZINEに魅了されて生まれた。
でも”つまりこれは何?”と自分で調べ、つくってみたい!と私なりに形にした。

それがこちら。
(BGMzineonescan)


私なりに形にしてみたら、めっちゃ衝動的な作品が出来たと、今になって思う。


ここからどんどん”今、届けるべき思いを発信したい”気持ちが強まり、今に至っている。
関わってくれた人すべてに本当に感謝しています。
良くも悪くも、もう衝動的な作品を作ることがとても難しくなった。
そして、私が何よりつくりたいのは、無価値な固定観念を壊していくための作品。
少しずつ、少しずつ、波紋を残していけるように。


拝啓 日本のZINEカルチャー。
私はどこまでも、どこへでも、旅立っていく。
今のこの狂った社会に向けて、作品を作りたい。
勝手に感じている恩を、思わぬ形で勝手に返せたらおもしろいかなって、

そんな気持ちでこれからより一層、日常に蔓延る呪いと向き合っていく。

 

青春がやっと終わった

青春が終わって、正直、わたしは心からホッとしている。

「青春」とは、ミネラルウォーターの青でもなく、きっぷ1枚でどこまでも行けるバイタリティでもなく、一心不乱に人を好きになれるピュアネスでもない。

私にとっての「青春」は、ひどく疲れるもので、”自分が手に負えない”という感覚に日々苛まれていた期間だった。

どうでもいい羞恥心に振り回されて自分を見失ったり、若さに対する自負で己を苦しめたり、曖昧な自己の輪郭を掴もうと必死に個性を探したり、現状を肯定できず、より良い場所を目指して新しい場に飛び込んだり。

人生で1番苦しく、人生で1番センセーショナルな期間だった(それはそれで良くもあったが)。もう絶対に戻りたくないけれど、あの苦悶の青春があったからこそ、地に足ついた今がある。

そんな”ひとつの青春”は、気がついたら呆気なく終わっていた。自我との長期戦に、やっひと段落ついたのだ。

今、わたしは自意識から解放された、ふたつめの青春を過ごしている(と思う)。

  

  

さいごに  

見切り発車の企画ながら、今回ご寄稿いただいた皆さん、本当にありがとうございました!

12月のテーマもまたTwitterで告知させていただきます。

飾らないあなたの文章を、編集部一同お待ちしております。

2件のコメント

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